【開催報告】コラボ大作戦:地球冷却xすくミドの結果報告会を行いました
2026年10月24日(土)10:00〜11:30、CoLabFieldの特別企画「コラボ大作戦:地球冷却微生物を探せ × すくえ!ミドリムシ」の結果報告会をオンラインで開催しました。水田の「土」と「水」を同じ場所で採取するという新しい試みに、全国からたくさんのご協力をいただきました。ご参加・ご協力いただいたすべての皆さまに、心より御礼申し上げます。この記事では、当日お伝えした内容をダイジェストでご紹介します。
- CoLabField&コラボ大作戦のおさらい
- 結果報告:地球冷却微生物を探せ(東北大学・大久保先生)
- 結果報告:すくえ!ミドリムシ(安田女子大学・玉木先生)
- CoLabFieldのマップ紹介
- 質疑応答
コラボ大作戦の企画概要はプロジェクトページをご覧ください。1回の採取で「地球冷却微生物を探せ」と「すくえ!ミドリムシ」の2つの研究に参加できる、CoLabField特別企画の第1弾です。
地球冷却微生物を探せ:気体の分析結果
東北大学の大久保先生から、土の気体分析の結果をご報告いただきました。
全国50地点から、52サンプルが集まりました
2026年7月10日〜9月10日に、全国50地点から52サンプルが届きました。このうち気体の分析は終了しており、結果レポートは前日の10月23日に参加者の皆さまへお送りしています(ポータルサイトでもご確認いただけます)。一方、土の中にどんな微生物がいるのかを調べる微生物叢(ソウ)の分析はこれからです。
結果レポートの見かた
- N₂O(一酸化二窒素):放出速度(量/時間)が+なら「放出」、-なら「吸収」です。
- メタン(CH₄):放出は、酸素が少なく還元的な土の特徴で、水田に多く見られます。吸収は、酸素が多い土の特徴です。
- 二酸化炭素(CO₂):食べ物(有機物)や微生物が多い土では、基本的に放出されます。吸収が見られる場合は、土の中で光合成をする生き物が関わっているのかもしれません。

52サンプルのまとめ
N₂Oの吸収が最も大きかった地点は、1位が滋賀県(S5024)、2位が長野県(S4966)、3位が兵庫県(S4968)でした。
コラボ大作戦のサンプルは「水田らしい」結果でした
- N₂O:他の水田サンプルと同じように、吸収する土の割合が大きいという結果でした。水が必ずある条件になっていることが関係していそうです。
- メタン:水を張った水田らしく、放出が多い結果でした。
- CO₂:放出が多く、微生物の活動が活発であることがうかがえます。
- ガス同士の比較:N₂Oを吸収する土ほど、メタンの放出が高い傾向が見られました。
これから:微生物叢の分析
次のステップでは、土から取り出したDNAを調べ、16S rRNA遺伝子を手がかりに、「どんな微生物が、どのくらいいるのか」を明らかにしていきます。これまでに分析した約200の水田サンプルについて、これまでの結果も紹介されました。
- 水田の土は微生物の多様性が高く、他の土地利用と比べて特徴的です。
- 季節よりも、地方ごとに微生物叢が分かれるかもしれません。
- 土の中からは、さまざまな藻類が見つかります。いちばん多いのは珪藻、次いで緑藻です。ミドリムシは河川敷の土でも見つかっています。
今後の展望として、N₂Oを吸収する菌の中に、まだ報告されていない未知のバクテリアがいる可能性もあります。これは水田サンプルに限らず、全体を通して探しており、培養の方法を探しているところです。
微生物叢の結果は、年内から年明けごろに参加者の皆さまへお返しする予定です(特設ページも作成予定)。
すくえ!ミドリムシ:解析の現場をオンラインで見学
安田女子大学の玉木先生からは、水サンプルの解析方法のご説明と、実際の研究室を中継するオンラインラボツアーをお届けしました。
水サンプルの状況
52地点のサンプルのうち、水も一緒に届いたのは47サンプルでした。10月24日時点では、6サンプルからミドリムシが増えているのが確認されています。
水からミドリムシを培養する
届いた水サンプルは、まず遠心分離でミドリムシ(とその他のプランクトン)を沈殿させ、ミドリムシ用の酸性培地に移して、培養棚でじっくり育てます。ミドリムシが増えてきたら顕微鏡で確認し、セルソーターという装置で1匹ずつに分けて、さらに1〜2週間培養します。増えたミドリムシからはDNAを取り出し、系統分類に使われる遺伝子だけをPCRで増やして配列を決定することで、どのミドリムシに近いのかを調べていきます。

顕微鏡ライブ映像で、ミドリムシを観察
ラボツアーでは、取れたミドリムシ株のうち早めに増えた3株を、顕微鏡のライブ映像と、サンプルを採取した場所を示すマップと一緒に紹介しました。ミドリムシの動き方や、体の中に見える色素のお話もあり、よく動く株や緑が濃い株など、株によって見た目の違いがありました。
ただし玉木先生からは、「スライドにのせたタイミングや、その前の培養条件によって見た目が変わるので、これが株の特徴だとは断定できない」とのお話がありました。今後、条件をそろえて解析することで、どの株にどんな特徴があるのかを調べられるのが楽しみです。
CoLabFieldのマップを使ってみよう
地球冷却微生物を探せ、すくミド、コラボ大作戦の採取地点ごとの情報は、CoLabFieldのマップで見ることができます。
- 右上のフィルターで、条件を絞って探せます。
- CoLabFieldアカウントでログインすると、各サンプルのデータを選んで比較できます。
- コラボ大作戦で水サンプルが届かなかったもの(土のみ)は、システムの都合上、地球冷却微生物サンプルとして表示されます。
あらためて、ありがとうございました
同じ場所の土と水をペアで調べると、微生物どうしの関係が見えてくるかもしれません。分析はまだ道半ばですが、皆さまが採取してくださったサンプルが、2つの研究を動かしています。続報は、メールやCoLabFieldのお知らせでお届けします。お楽しみに!
