【PJ活動報告】コムカデ「どこでもドア」大調査 キックオフイベントを行いました
2026年8月8日、「日本全国コムカデ『どこでもドア』大調査」の キックオフイベントをオンラインで開催しました。 これから全国各地で始まる市民参加型の調査に向けて、 コムカデという生き物のこと、研究のねらい、採集方法、 そして調査で大切にしたいポイントを参加者の皆さんと共有しました。
そもそも「コムカデ」ってどんな生き物?
コムカデは、土の中で暮らす小さな節足動物です。 ムカデという名前がついていますが、ムカデとは別のグループに属しています。 普段の生活ではなかなか目にする機会がありませんが、 身近な土壌にも生息している、とても身近でありながら未知の多い生き物です。
なぜ「どこでもドア」大調査なのか
今回のプロジェクトの出発点には、コムカデの「分布の不思議」があります。 多くの種が限られた地域で見つかる一方で、 一部では遠く離れた複数の地域から同じ仲間が見つかっています。
土の中で暮らす小さな生き物が、なぜそんな広い範囲に分布しているのでしょうか。 まるで「どこでもドア」を使って移動したようにも見えるこの現象を、 全国から集まるサンプルを手がかりに調べていきます。
研究者だけでは訪れることのできる場所に限界があります。 そこで全国の参加者がそれぞれの生活圏で調査することで、 これまで十分に調べられていなかった場所からも データを集められる可能性があります。
身近な土から、どうやってコムカデを探す?
キックオフでは、採集キットの使い方も紹介しました。 今回の調査では、土壌動物を水に浮かせて探す「水浮遊法」を利用します。 小さな生き物を壊しにくく、逃がしにくいことに加え、 一匹ずつ見つけて採り分けやすいことが特徴です。
市民参加だからこそ届く場所がある
これまでの採集キットの運用では、道路脇、公園、神社などの身近な場所に加え、 研究者だけでは入りにくい畑や民家周辺からもコムカデが得られました。 市民の手元から調査することは、単に人手を増やすだけではなく、 研究できる場所そのものを広げることにもつながります。
「見つからなかった」も、大切な研究データ
今回は30キット・120地点の調査を目標としています。 もちろんコムカデが見つかることは大きな成果ですが、 見つからなかった地点も「どこにはいないのか」を考えるための重要な情報です。
また、コムカデ以外にもさまざまな土壌動物が採集されます。 身近な土の中にどんな生き物が暮らしているのかを発見すること自体が、 このプロジェクトならではの体験でもあります。
採集体験から、DNAレベルの謎解きへ
キックオフは、これから始まる約1年間のプロジェクトのスタート地点です。 8〜9月に参加者が各地で採集し、集まった標本はその後、 形態やDNAをもとに研究者が同定・解析していきます。
全国各地から届く一つひとつのサンプルを地図の上につないでいくことで、 コムカデの分布がどのように成り立っているのか、 そして「どこでもドア」のように見える分布が生まれた理由に 新しい手がかりが見えてくるかもしれません。
- 8〜9月: 全国の参加者が身近な場所で採集
- 10〜12月: 集まった標本を形態・DNAから解析
- 2027年1〜3月: 結果を参加者へ還元し、成果を報告
まずは、全国からどんなコムカデや土壌動物が集まってくるのか。 そして、その結果からどんな新しい問いが生まれるのか。 プロジェクトのこれからに、ぜひご注目ください。
キックオフイベントの様子はYouTubeでもご覧いただけます。
キックオフ動画を見る